2008年12月05日

REPORT 5 名刺

 今、手元に一枚の名刺があります。
 今まだ勤めている会社の関係で、出版大手S社、編集部のS様からいただいたものです。
 作家を目指していた昔の僕は、まさにこの名刺を渇望していたのでした。と、いいましても、無論、今の僕は作家ではなく、作家を目指しているわけでもなく、もしこれからもお付き合いしていただけるのなら、作家とはまるで見る方向の違った立場で仕事をご一緒することになるのでしょうけれども。
 ともかく、この名刺を見るに様々な感慨が沸き起こってくるのです。十年前に、出版社の方と知り合う機会があったなら、代償としてどんなものでも差し出したことでしょう。実際に、か細いつてを頼り、出版社の方と接触しようと手を尽くしたのですが、結局は一人とも会うことはできませんでした。それで仕方なく、光射す方向すら定かではない暗闇の中で、やたらと長い小説を書きつづけていたのです。どこに出す当てもなく、だれに見せるあてもなく。
 それが、今は出版社の方と頻繁に会う機会に恵まれ、学生達に出版社の方と引き合わせることができるようになりました。今の僕は、おそらくきっと、あの当時の僕が会いたかった人間になろうとしているのだ思います。あの当時の僕が渇望していた多くのことを、提供できる立場につこうとしているのだと思います。
 ただ希望とエネルギーだけがふんだんにあって、暗闇の中で自分の美学を貫こうとする若い人たち。少しでもその人たちの力になれればいいと思い、僕は起業を決意しました。彼ら彼女らが奮闘する暗闇を少しでも照らすことができたなら、どんなにいいかと思います。それは過去の自分に対する弔いであるのかも知れません。
 今の仕事のつながりで、お付き合いしていただいている出版関係の方々に、起業後もお付き合いいただくためには、何より僕の人間性を高めなければならないでしょう。そして、”SIGRE−HIKO”のストーリー性を洗練し、さらに面白いものとしていく必要があると考えております。
 僕にできることは何なんだろうか。そう自分に問いかけている毎日です。
posted by 発起人 at 16:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記